1階に下りると、今度はすみれとカンナが、丁度地下から上がってきたところだった。
「やあ、2人とも。一緒に鍛錬でもしてたのかい?相変わらず仲が良いね」
その2人に大神が笑顔で話しかけた。
「お、隊長・・・」
「あら、中尉・・・」
いつもなら大神の『仲が良い』という言葉に、自分達のどこが仲が良いと言うのだ、といった反応が返ってくると思ったのだが、2人とも何故か大神を見つめてキョトンとした顔を見せた。
大神を見つめて、と言うよりは、その服装を見つめているようだった。
それを大神が不思議に思うと、
「そういう隊長だって、仲が良いじゃないか」
「本当ですわ」
と、2人とも訳の分からない返事を返し、笑顔を見せた。
「え?どういうことだい?」
それに大神が首を傾げると、
「良く似合ってるってことだよ」
と言ってカンナが高笑いをし、すみれも
「そうですわね」
と言うといつもの笑い声を上げた。
「はあ」
大神は何だか分からずに、それだけ言う。
「じゃあな隊長。あたい達これからメシなんだよ」
「失礼しますわ」
「あ、ああ」
結局何が何だか分からない内に、2人はそう言うと食堂の方に歩きだす。
「あ、そうだ。隊長その格好、さくらには見せない方が良いと思うぜ」
不意にカンナが振り向くと大神に言った。
「え?」
それにまた大神が首を傾げると、すみれも振り返り、
「お気をつけて」
と、これまた訳の分からないことを言った。
結局、最後まで訳の分からない2人の言葉に、大神はただただ首を傾げるだけだった。
「大神さ〜ん」
そこへ楽屋の方からそう声が聞こえてきた。
大神がその声の方に目をやると、さくらがこちらに歩いてくるのが見える。
今さっきカンナに、さくらにはその格好は見せない方が良いと言われたばかりだが、その理由が分からないのでは大神もいきなりこの場から逃げ出すわけにも行かず、近づいてくるさくらをドキドキしながら見つめていた。
「や、やあ、さくらくん」
大神が側に来たさくらに声をかける。
「ああ!」
「うわあ!」
そのさくらがいきなり大声を上げるので、大神もまた驚いて声を上げた。
「ど、どうしたんだい?」
驚いたままに大神がさくらに聞く。
すると、さくらは驚いた顔のままで少し固まって、しばらくしてやっと口を開けた。
「うふふ。大神さん、その服良くお似合いですね」
何故か引きつった笑いで、さくらが言う。
「え?あ、ああ。ありがとう・・・」
そのさくらに、大神は訳が分からないまま返事を返した。
笑顔のさくら。困惑する大神。2人の間に妙な沈黙が流れる。
「あ、あの、さくらくん」
その空気を打ち払うべく、大神が口を開いた。
「はい。何ですか大神さん?」
どこか棒読みのような口調のさくら。
「レニ見なかった?」
「レ、レニですか?」
そこでまた沈黙。
「レニならアイリスと織姫さんと歌の練習だって、さっき音楽室に行きましたよ」
しばらくして口を開いたさくらは、何故かジト目に変わっていた。
「お、音楽室だね。あ、ありがとう、さくらくん」
さくらにジト目で見られ、大神は焦りながら礼を言う。
「じゃあ、あたし用事がありますから」
それにさくらが、いかにも不機嫌そうな声で言うと、とっととその場から立ち去ってしまった。
「俺、何か怒らせるようなこと言ったっけ?」
そう言って、またも首を傾げる大神である。