どこまで
親知らずを抜いた。
麻酔を2回も失敗してくれて、何度も何度も針を刺すなーという最悪のスタートだった。
ますみんに習って線路は続くよどこまでもーと頭の中でリフレイン。何も考えるな無心になるんだ……。
親知らずを抜くのは3回目だが今回やたら時間がかかっている気がするぜ。
今回の親知らずはほぼ真横に生えているというへそ曲がり。隣の正常な奥歯に頭突きをかましているという状態だ。
奥歯を抜けば簡単に抜けるが、正常な歯を抜く訳にはいかない。仕方がないから親知らずの頭をガシガシ削って引き出すスペースを作ってから引きずり出す作戦。
削る削るいつまで削るのか。線路は本当にどこまでも続いているようだ。
どれくらいの時間がたっただろう。麻酔のせいでなんの感覚もなかったが、それはついに俺の口の中から立ち退かされたようだ。取り壊しというおまけ付で。
家に帰ってしばらくすると、やっと麻酔が切れてきた。
だが、ん？ あれ？ ちょ……これ……、
ITEEEEEEEE!!!!!
注射針が何度も刺さった場所が猛烈に痛ぇー!!
鎮痛剤。食後とかそんなことはしらん。
ていうか、本来の目的とは違う理由で鎮痛剤飲んでないか？ いいのかこんなことで。
何やら理不尽な痛みまで抱えてしまった気がするんだが。
鎮痛剤はとりあえず効いたけど、痛みは完全に消えずに未だに続いている。
いつまで痛いんだこの針の痕は……。
線路は本当にどこまでも続いているようだ。