「お兄ちゃんとレニ・・・みつからないねー」
ぼんやりと行き交う人々を眺めながら、アイリスが団子にかぶりつく。その横では、紅蘭がお茶を飲みながらそれに頷いていた。
「だいたいさ、こんな人ごみの中で見つけようってのが間違いだと思わないか?」
アイリスと同じ団子を両手に1本ずつ持ったカンナがそう言うと、マリアはアイスキャンデーをかじりながら、「そうかもね・・・」と天を仰ぐ。
「仲見世も浅草寺も・・・きっと、花やしきもすごい人ですよね」
最後の団子にかじりつきながら、さくらがため息をつく。背中合わせで、織姫がぼんやりしながら団子をもぐもぐしている。
さくらたちは、仲見世を通り、浅草寺へと向かっていたのだが、アイリスがお団子を食べたいと言い出し、カンナもそれに同意した。マリアも、今日は縁日を楽しみにきたのだからと紅蘭たちに諭され、浅草寺に行く前に、少しわき道に入った小さなお団子屋に入っていた。
「これは、花やしきで落ち合うのが一番楽かもしれないわね」
「そやね。大神はんたちが着いたころを見計らって、園内放送で呼び出してもらうこともできるし」
「それなら、急いだ方がいいんですかね?」
「いや、この人ごみだ。隊長たちだって、そうやすやすとは花やしきに迎えねぇよ。少しぐらい休憩したって、追い抜かれやしねぇよ。あたいたちの方が、先についてるんだしさ」
「それもそうですね」
さくらがお茶を飲もうと紙コップを手にした時、
「・・・ラブリ〜チェリ〜」
と、なんとも間の抜けた、しかしはっきりと聞き覚えのある声がした。さくらが顔を上げると、そこにはハッピ姿のダンディ団が。
「あ、ダンディさん」
「これはこれは花組のみなさん、おそろいで!お祭り見物ですかぃ?」
「ええ、そんな所です。皆さんは?」
「あっしたちは、お客さんたちの誘導をお手伝いしてるんですよ。ぼらんてぃあというやつです」
「まあ、ご立派ですね」
マリアが微笑むと、ダンディだけでなく、西村と武田も上機嫌だ。
「ところで、どうしてこんなとこにいるんですか?」
「いえ、さすがに疲れましたんで、一服いれようかと・・・そしたら、花組さんたち勢ぞろいじゃあございませんか!いや〜・・・世界に1つずつの花が集まる花畑。癒されますね〜」
嬉しそうに笑いながら、ダンディは空いている椅子に腰を下ろす。西村と武田は座る場所がないので、仕方なしにたっている。そして、西村があることに気づく。
「そういえば、レニさんがお見えになられないようですけど・・・?」
「レニは、ちゅ・・・大神さんと一緒のはずでーす。銀座の駅で、はぐれちゃったんでーす」
織姫が、しれっと答えると、西村と武田は顔を見合わせた。ダンディだけは、なるほどと意を得て1つ頷いてみせる。織姫にはその意味がわかって、口の中で「グラッチェ」と呟き、にこっと笑う。
「どうかなさったん?」
そんな子分2人を見て、紅蘭が首を傾げる。代表で、西村が口を開いた。
「さっき、大神支配人さんはみかけましたが・・・レニさんはいなかったようですけど」
『えぇぇぇぇえっ!?』