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「やっぱりいないか・・・」
急いで乗車口に来てみたはものの、たぶん先ほど発車したものに乗っていたのだろう、花組の姿はどこにも見あたらなかった。
「し、仕方がない・・・ね。次ので急いで追いかけよう」
「うん・・・」
やはり、大神のその口ぶりはどこかぎこちない。レニに話しかけるのにいちいち彼女の様子を伺っているようでもあった。
「と、とりあえず座ろうか」
「・・・うん」
「・・・」
「・・・」
「レ・・・」
「隊長・・・」
「な、何だい?」
レニが突然話しかけて来たので大神は思わず驚いた。もっとも、驚いた原因は突然だったからだけではないだろうが・・・
しかし、レニは大神を呼んだだけで言葉の続きを言うまでもなく、じっと大神の顔を見つめていた。
「レ、レニ・・・?」
レニが無言でただ見つめてくるので、大神はどうしていいのか分からず慌てる。
「どう・・・したんだい?」
大神はやっとその言葉をしぼりだす。
「・・・何でもない」
レニは大神のその言葉に我に返ったかのようにハッとするとうつむいてしまった。
(ど、どうしたらいいんだ・・・!?)
レニと出かけたくて誘ったまでは良かったものの、最初にアイリスに知られて、それからずるずると・・・
不可抗力(?)とはいえレニと2人っきりになったこの状況。レニにどう話しかけていいか分からずに悩む。
大神が内心焦りまくっていろいろ試行錯誤していると。
「・・・隊長」
「えっ!?」
「メトロ、来たよ」
「あ?ああ・・・」
それぞれの想いを乗せてメトロは浅草へ向かうーー
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