イメージカラーは赤?



 カルマールを倒し巴里に平和が戻った。
 避難していた人々も戻りはじめ、街は活気を取り戻しつつある。
 巴里華撃団を影ながら支えたレニと織姫も、巴里に来て初めて、やっと落ち着いた時間を過ごしていた。
 それどころではなかった歓迎会も行なわれ、その中でレニは巴里花組の注目を集めていた。

「レニさん、すごかったんですよー。コクリコより上手い人わたし初めて見ましたー」
「うん。もう、エリカなんて顔真っ黒だったもんねぇ」
 エリカとコクリコが楽しそうに、昼間レニと三人でやった羽根突きのことを話した。
「その帰りにお花屋さんに寄ったら、レニさん全部のお花の名前を知ってるんですよ。もうエリカ感激ですー」
 今度は早々と巴里に戻ってきていたコレットの店での話。
「そういえば、弓道場でもいとも簡単に的を射ていたな。私には真似できぬ」
 グリシーヌも弓道場でのレニを思い出した。
「本当ね、グリシーヌ。私も驚いたわ」
 一緒に見ていた花火も、レニの矢を射る姿に「負けそうです」と声を漏らしていた。
「まったく、何でもできちまうんだな。アタシが勝てるのは飲み比べくらいだよ」
 レニにリベンジを申し込みまたやられたロベリアは、流石にレニの実力に舌を巻いたようだ。
「でも、あんたみたいなの嫌いじゃないぜ」
 というか、逆に気に入ったらしい。
「ホント、レニってすごいよね〜」
「私も見習わなくてわな」
「憧れてしまいます。……ぽっ」
「今度アタシがうまい酒ご馳走してやるよ」
「レニさん、最っ高ですー!」
 最後にエリカが抱きつくと、レニはどうしていいかわからずに、ただ頬を赤く染めた。
「ふふーん。これが帝国華撃団の実力でーす」
 そのレニに代わって織姫がそう口を開くと、
「帝国華撃団ではなくレニの実力だろう」
 すかさずグリシーヌに突っ込まれてしまう。
 それでも織姫はにこにこ顔で、まるでできのいい妹を持った姉のように鼻高々な顔をしていた。
「へー、すごいじゃないかレニ。俺も見たかったなぁ」
 大神もみんなの話を聞くと笑顔でそう言った。それがとどめになって、レニは頬だけでなく顔全体が赤くなった。
「……いや、その、ボクは、別に……」
 巴里花組や大神に褒めちぎられ、おまけに織姫にはやし立てられて、レニは恥ずかしいやら照れるやらで、どうしていいかわからなくなってしまう。
「ねぇ、レニはトーキョーでも大活躍だったんでしょう? そのお話聞かせてよ」
 それに追い討ちをかけるように、コクリコがそんなことを言い出した。
「わかりましたー! それじゃあ、わたしが特別にレニの武勇伝を聞かせて差し上げまーす!」
 調子に乗った織姫が高らかにそう言うと、巴里花組はやんやの歓声を上げ、逆にレニは顔を耳まで赤くして小さくなってしまった。
 それから遅くまで織姫の語る『レニ・ミルヒシュトラーセ物語』は続き、第七章まで(第十三章まであるらしい)進んだところで、その織姫が睡魔に襲われたことで、惜しまれつつも終局を迎えた。
 レニはその間中、ついに顔色が元に戻ることはなかった。



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