大神が言ったとおり、レニの腕の中にはちゃんとリュリュが収まっていた。
「夢、覚めちゃったんだ……」
 少し寂しそうなレニの声がリュリュの耳に届く。
 だが、勿論現実のリュリュは話したり返事をしたりはしない。
「ボク、なんて夢……」
 ついさっきまで見ていた夢を思い出し、レニは夢の中と同じに思わず頬を染める。
 そして、自分への照れ隠しに腕の中のリュリュをギュッと抱きしめた。
「ありがとう、リュリュ。隊長に会わせてくれて」
 そのリュリュに話しかける。
 それにも勿論リュリュは返事をしない。ただ、柔らか感触をレニに伝えるだけ。
「……一郎」
 そしてもう一度、まるで呪文を唱えるように、大好きな人の名前を口にした。
 呼びなれないその言い方に、レニはまた頬を赤く染めた。



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