序 章




 トレボー王の支配する城塞都市、その名もトレボー城塞。
 ここにワードナと名乗る魔導師が現れ、トレボー王をたばかり迷宮を造り住み着き始めて、数年の時が経った。

 魔導師ワードナ。彼がトレボー王に近づいたのは、トレボー王の持つ魔除けが目当てであった。トレボー王に与えられた土地に迷宮を造り上げ、魔除けを盗む機会をうかがっていたのだ。
 トレボー王の寝ている隙に魔除けを奪い、迷宮の奥深くに身を潜めると、彼は迷宮に怪物共を召還し自らの護衛としたのだった。

 トレボー王。人は彼を狂気の大君主と呼んだ。
 彼は無敵だった。たった一代でこれだけの都市を築き上げ、隣接する国という国を攻め滅ぼし、あまつさえ世界征服すら達成するのではないかと思われた。
 そもそも彼がワードナに土地を与えたのは王国の備えの為であった。相次ぐ戦乱により国王親衛隊の精鋭達が次々に死んでいった為、やむをえずワードナなる魔導師に住む事を許可したのだ。
 だが、まさかワードナが魔除けを盗もうとは夢にも思いはしなかった。これまで王国を護り、隣国を攻め滅ぼす為の力となっていた魔除けを。
 彼の親衛隊は精鋭を選りすぐり迷宮に乗り込んだが、魔除けを取り返すには至らずワードナに殺された。
 彼は自ら迷宮に乗り込み魔除けを取り戻そうと考えた。しかし、国王親衛隊隊長の提案により冒険者を集い迷宮へ向かわせ、そしてワードナを倒し魔除けを取り戻した者を国王親衛隊隊員として迎える事となったのであった。



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