あとがき
新・歌謡全集の『夕焼けの向こうに』をEDテーマとして聞いてもらうと、僕の拙い文章を補ってもらえます。
この話は書き上げるのにとても悩んだ覚えがあります。
影山サキ、或いは水狐と名乗った女性の本質がどうしても分からなくて、サクラ2のサキと水狐の出てくるところをやりながらセリフをメモしたりしたものです。
書くと決めてから書き上げるのに、実に4ヶ月かかりました(笑)。
作中でも言っていますが、4話の冒頭で小犬を大神さんが助けるシーンで、リップスによっては大神さんは足を挫いてしまいます。
その後帝劇に戻って小犬の名前を決めるイベントがあるわけですが、その時花組は全員大神さんと会っているのに、誰一人大神さんの足に気がつきません。
大神さんが心配かけまいとして隠していたとしても、少なくともさくらはその場にいたのですから、陸軍病院なり帝劇の医務室なりで手当てをしてあげてもよさそうなものです。
ところが、その後のフリー移動中に医務室へ行くとサキさんがそれを見つけて、頼んだわけでもないのに手当てをしてくれるのです。
もっとも、そんな事はゲームだし、揚げ足取りなことは十分に分かっているのですが、僕にはその時のサキさんの顔がとても優しく微笑んでいるように見えました。
で、その笑顔がサキさんの本質ではないかと思ったわけです。
とは言え、それでも完全につかみきれなくて、記憶喪失にして全く別の人格になってもらったわけですが。
ちなみに、この話は長い長い『影山サキ物語』を強引にコンパクトにまとめた物(と言うよりはその一部と言った方が良いのかな?)です。
彼女が人を信じなくなった理由とか、京極が陸軍大臣になるために邪魔だった人間を暗殺していたのは水狐だったとか、色々イメージは膨らみます。
東雲の神社に祭られているのは、水龍神という裏設定もあったり(笑)。
サキは書いてて面白いキャラですよ。サキさん嫌いな人もいるみたいだけど、僕は好きです。
桐子の名前は『久遠の絆』というゲームに登場するキャラクターからもらいました。
性格うんぬんは全く違いますが、書いている時にイメージしていたビジュアルは『久遠の絆』の桐子そのままでした。
『みずとこおり』というタイトルは、この頃『無限のリヴァイアス』というアニメが好きだったので、わざとひらがなです。
そう言えば、これ書いたおかげで大サキ帝國の名誉国民になったんだよ(笑)。