12月13日

帝都ニュース



「こんにちは。帝都ニュースの時間です。



 一昨日、銀座で行われた帝国華撃団と降魔との戦闘で出た被害状況についてです。
 帝国華撃団の迅速な対応により、死傷者はありませんでした。
 建設中の蒸気ビルヂングの一部が崩れ落ちましたが、当時作業員は非難しており、怪我人などは出ておりません。現在は瓦礫の撤去作業に追われています。
 降魔の死体はすぐに片付けられましたが、流れ出した体液がわずかに路上を染めており、近隣住民から気味が悪いとの声が上がっています。
 また、街頭に設置されている蒸気電話ボックスや蒸気灯などの一部には、降魔が引っ掻いたとみられる爪痕が生々しく残っているそうです。



 続いて、三種の蒸機の一つ、蒸気蓄音機が、この年末飛ぶように売れているというニュースです。
 事情通によると、この現象は帝国歌劇団がクリスマス公演『奇跡の鐘』に合わせて発売する蓄音盤がきっかけとのこと。
 この蓄音盤は、同公演で歌われる曲を完全収録した豪華二枚組みで、大帝国劇場や蓄音盤を取り扱う店では予約が殺到しています。
 クリスマス公演『奇跡の鐘』は大帝国劇場において、毎年12月24日にだけ行われる特別公演。チケットを入手するのも困難なほどの大人気で、恋人達には聖夜に二人でこの公演を観るのが憧れなんだとか。
 地方で公演を観られないという方や、残念ならがチケットが取れなかったという方が、せめて歌でもと蓄音盤、そして蓄音機の購入に踏み切ったということのようです。
 帝国歌劇団の人気は経済効果にまで影響を及ぼしているんですね。



 次は楽しい話題を一つ。
 遠く仏蘭西巴里に現れたダンスチームのニュースです。
 このダンスチームは、なんと三人の日本人からなるグループで、毎日芸術家が集うテルトル広場でそのダンスを披露しているそうです。
 彼らはダンスをしながら世界を旅しているらしく、真実の愛と美を探していると語っているとか。
 彼らがダンスを始めたのは帝国歌劇団花組の舞台に触発されたからとのこと。
 その彼らの独特のダンスは巴里市民に大受け。日本から来た新手のコメディアンチームとして人気を呼んでいるそうです。
 当のダンスチームの三人は、自分達はコメディアンではなくダンサー、男ではなく普通の女の子だと語り、これもまた巴里市民の笑いを誘っているとか。
 同じ日本人としては少し複雑ですが、ぜひとも彼らのダンスを見てみたいですね。



 最後に、今週の天気予報をお送りします。
 ここしばらくは晴れの日が続く見込みですが、気温は低い日が多くなりそうです。
 気象庁では水の凍結による蒸気機械のタンクやパイプの破損に注意を呼びかけています。
 明け方には凍結により水道水が出ないなんて日もあるかもしれませんね。



 以上、帝都日報の提供による帝都ニュースをお送りいたしました」



補注とか